Story
ストーリー

誕生秘話:潮風とともに受け継ぐ味
長崎県の西部、青く澄んだ海に大小の島々が浮かぶ五島列島。そのひとつ、新上五島町・中通島で、虎屋は創業しました。
始まりは、先代・犬塚虎夫氏が立ち上げた小さな製麺所。創業から35年以上、唯一の「塩からつくる五島うどん」の製麺所として、島の恵みとともに、五島うどんの伝統を今に伝えています。

こだわり01:素朴で滋味深い、島のうどん
五島うどんの魅力は、つるりとしたのど越しと、芯のあるコシ。まるで絹のようになめらかで、噛むほどにじんわりと小麦の香りが広がります。この独特の食感と風味を生むのが、五島ならではの製法。麺には、島の名産である椿油を薄く塗り、時間をかけてゆっくりと乾燥させます。さらに虎屋では、海から汲み上げた海水を独自の製塩技術をもってつくる「五島の塩」を使用し、小麦の香りを引き出したやわらかな味わいに仕上げています。
いまでは機械を導入し生産量も大幅に増えましたが、最後に麺の長さを整える作業、くっついた麺の隙間を箸でそっと広げる作業など、工程には今も手仕事が残ります。それは、機械ではつくれない"丁寧な味"を残すため。ひと手間かけることで、食べたときの満足感もまた深くなるのです。


こだわり02:島の味を伝える、あごだし
五島うどんに欠かせないもうひとつの柱が、「あごだし」です。「あご」とは、飛魚のこと。五島列島では昔から親しまれてきた魚で、炭火でじっくり焼いてから出汁をとることで、香ばしく深い味わいが生まれます。
かつては、どの家庭にも"あごだし"の香りがありました。海辺で獲れたてのあごを干し、台所でゆっくり煮出す──そんな風景が、日々の食卓を支えていたのです。虎屋では、この伝統的な味わいを現代に受け継ぐために、無添加で仕上げた特製のあごだしスープを開発。化学調味料に頼らず、自社の「五島の塩」を使用し、あご本来の旨味がじんわりと広がるスープに仕上げました。どこか懐かしくて、身体にやさしい味。このあごだしがあるだけで、五島うどんの美味しさは何倍にも広がります。
※特製あごだしスープはセットの中に入っています。五島うどん単品には付属しておりません。



想い:五島うどんのある風景
五島列島の豊かな自然とともに歩んできた虎屋。創業から35年以上、五島うどんを中心に、食を通じたものづくりに真摯に向き合ってきました。五島うどんは、島の風土とともに育まれてきた存在です。椿油を塗って乾燥させる独自の製法に、昔ながらのあごだし。一杯のうどんには、この土地の知恵や暮らしがぎゅっと詰まっています。
そして今、その魅力をもっと多くの人に届けたいという想いから、虎屋は2024年、新たにカフェをオープンしました。メニューに並ぶのは、五島うどんを使ったオリジナル料理や、自社製の塩をアクセントにしたスイーツやドリンク。「うどん=和食」という枠をこえて、もっと自由に、もっと楽しく。カフェは、そんな五島うどんの新しい楽しみ方を提案する場所として、地元の人たちにとっても日常的に立ち寄れる、あたたかな交流の場になっています。
塩も、うどんも、すべては日々の暮らしの中で味わってもらうために。海風のように穏やかに、島の味がみなさんの食卓へ運ばれていくことを願って。


株式会社 虎屋
https://www.goto-toraya.com
基本のゆで方


たっぷりのお湯を沸騰させて麺をバラバラと投入。ふきこぼれないよう注意しながら、お好みの柔らかさになるまで6〜8分ほどゆでたら出来上がりです。
おすすめの食べ方

五島名物・地獄だき
麺をゆがいた鍋のまま食卓へ。「あごだし」でいただくのが五島流。だしに生卵を落としたり、お好みでネギや鰹節をトッピングして楽しみましょう。

キリッと冷やしてざるうどんに
茹で上げた五島うどんを流水でしっかり洗って冷やしうどんに。五島うどんのつるっとしたのどごしがやみつきになる逸品です。