Story
ストーリー

誕生秘話:干物屋が生んだ、新しい"旨辛"体験
潮の香りが日常に溶け込む町・鹿児島県阿久根市。ここで、80年以上にわたり魚と向き合ってきた下園薩男商店の歴史は、海とともに生きる営みそのものです。三代目の下園正博さんは、祖父から続く干物づくりの技と心を受け継ぎつつ、今の時代に合ったかたちへと丁寧に磨き上げてきました。「昔ながらの味を、今の暮らしのなかでどう届けるか」。そんな問いに、日々まっすぐ向き合いながら、塩分の調整や乾燥の具合といった職人の感覚に頼ってきた工程も、記録と数値によって見える化し、安定した品質を追求しています。

魚の加工を主軸にしながらも、下園薩男商店は地域の素材を活かしたさまざまな商品づくりに挑戦してきました。その中で生まれたのが『焼海老辣油』です。社内のシェフとしてレシピ開発に関わっていたスタッフの提案をもとに開発が始まりました。主役となる海老は、地元・鹿児島県阿久根で水揚げされた「タカエビ(ヒゲナガエビ)」。下園さんたちはこの素材に新しい価値を加えたいと考えました。

こだわり01:海老の香ばしさを引き出す技と工夫
『焼海老辣油』の要となるのは、阿久根で水揚げされる新鮮なタカエビです。このタカエビは、しっかりとした旨みと上品な甘さをあわせ持ち、噛むほどに風味が広がる"地元の宝"ともいえる素材。その魅力を最大限に引き出すため、下園薩男商店では、一尾一尾を丁寧に焼き上げてから、香味油に閉じ込めています。焦がさず、でもしっかり香ばしさをまとわせる焼き加減を目指しました。さらに、香味油の温度管理や素材の配合にも細心の注意を払い、辛さの中にしっかりとした旨み、タカエビの甘みが感じられる"ごちそうラー油"へと仕立てています。

こだわり02:ひとさじで変わる、日々の食卓
『焼海老辣油』の魅力は、その多様な使い方にもあります。熱々のごはんにのせて卵と絡める、冷や奴にかける、炒め物に香りを添える──どんな料理にもすっとなじみ、ひとさじ加えるだけで食卓がちょっと楽しくなる。調味料でありながら、まるで一品料理のような存在感を放つ『焼海老辣油』は、日々の食事に小さな驚きと満足感を添えてくれます。

想い:まちと生きる、商いのかたち
鹿児島県阿久根市にある直営施設「イワシビル」は、下園薩男商店の"これから"を体現する場所。古いビルをリノベーションし、1階はカフェと物販、2階は加工場、3階は宿泊スペースというユニークな構成に生まれ変わりました。また、商品開発マニュアルの整備やスタッフ育成を通じて、「トップダウンのものづくり」ではなく、スタッフそれぞれが挑戦できる環境を整えています。誰もが意見を出し、チャレンジできる土壌が、下園薩男商店の今を支えています。
「地域のものにひと手間を加え、その土地らしさを未来に残したい」。多彩な商品が今日も日本全国・世界へと旅立っています。海とともにある町から、丁寧に手をかけた"おいしさと物語"を。下園薩男商店の挑戦は、これからも続いていきます。


下園薩男商店
https://marusatsu.jp/
おすすめの食べ方

餃子や焼売にひとさじ
餃子や焼売に好きなだけかけて。ジューシーなお肉の旨みに、タカエビの香ばしさが絶妙に絡み合い、ひと口ごとに風味がふくらみます。