Story
ストーリー


誕生秘話:眠っていた機械と、島の資源から生まれたカレー
長崎県の西端、五島列島。大小あわせて140あまりの島々からなるこの地は、古くから漁業と信仰の文化が根づく、美しい海と豊かな自然に恵まれた場所です。一方で、流通や販路の面では"離島ゆえの制約"も抱えています。
そんな五島福江島で、地元食材の新たな活かし方を模索していたごと株式会社。きっかけは、焼き芋を常温保存で流通させようと導入した"レトルト機械"でした。思うような仕上がりにならず、眠っていたこの機械を、代表の木下秀鷹さんが"新しい商品に活用できないか"と再び動かしたことで、新たな商品開発が始まります。注目したのは、五島近海で水揚げされる"真鯛"。その出汁の持つ上品で繊細な旨みを活かし、どんな素材とも相性のよい'五島の鯛で出汁をとったなんにでもあうカレー'が誕生しました。"ただ美味しいだけじゃなく、"五島らしさ"を届けられる商品にしたかった"と語る木下さん。離島の可能性をぎゅっと詰め込んだ一皿が完成しました。

"毎日食べたくなる"味の設計と鯛の出汁
"本当に、僕もほとんど毎日食べてますよ"。笑いながらそう話す木下さんにとって、このカレーは暮らしに欠かせない"定番メニュー"。鯛出汁と8種類以上のスパイスが効いたレトルトとは思えない濃厚なカレーは、満足感がありながら、毎日食べても飽きのこない美味しさ。こだわりの味づくりには、試作を何度も重ねた工夫があります。"レトルトにかけると風味が変わるので、最後の仕上がりから逆算して調整しています"。鯛出汁の繊細な風味を活かしつつ、ごはんやパスタ、グラタンなどに"なんにでも合う"万能さが魅力です。

離島から、日常の食卓へ
鯛をふんだんに使いながらも、200円台という手に取りやすい価格を実現しているのもポイント。五島では良質な鯛がたくさん水揚げされており、豊富な資源を活かせること。そして"毎日食べてほしいからこそ価格にもこだわりたい"という企業努力が背景にあります。"離島からわざわざ届けることに意味がある"と語る木下さん。島ならではの物流コストや人の行き来の難しさを逆手にとり、"非日常の特別感"をまとわせながらも、気軽に楽しめる商品として展開。商品を通して、五島という場所に触れてもらえるきっかけにもなっているのです。

想い:五島から、"地方発の成功モデル"を
パッケージやネーミングも、ファミリー層や一人暮らし層に向けて工夫されました。ポップで親しみやすい見た目は、SNSでのシェアにもぴったり。現在は海外輸出にも取り組みはじめており、五島から世界へと販路を広げつつあります。さらには、自社ブランドだけでなくOEM(他社商品の製造)にも対応する体制を構築。安定した生産と商品開発の場として、2022年には"長崎五島ごとレトルト研究所"を新設。地元の子どもたちの工場見学も受け入れています。
"離島というハンデがあるからこそ、そこからヒット商品を生み出せたら、すごくかっこいいと思うんです。"海を越えなければならない地理的制約、原材料の調達や販路開拓にかかる手間やコスト。それらすべてを受け止めながらも、五島という場所で商品を生み出す意味を見失うことなく、挑戦を続けてきました。"地方は不利"と思われがちな世の中で、"どんな土地からでも、可能性は切り拓ける"ということを自らの手で証明していく――。その姿勢は、全国の離島や山間地域など、同じような課題を抱える人々にとっての希望になっています。現在では、五島列島にとどまらず、全国各地の地域事業者に向けて、商品開発やブランディング、販路拡大の支援も手がけている木下さん。自らの実体験をベースに、現場目線で課題と向き合い、ともに未来を描く伴走者としての役割を果たしています。"地方から日本を元気にするモデルケースになれたら"小さな島から生まれた挑戦は、いま、日本各地へと力強く広がっています。
ごと株式会社
https://nagasakigoto.co.jp/

おすすめの食べ方

毎日食べても飽きないカレー
そのままご飯にかけるのはもちろん、うどんやパスタのソース、焼いた野菜や肉のトッピングにも。主張しすぎず素材の旨みを引き立てる味わいは、まさに"なんにでもあう"。アレンジの幅も広いため、毎日食べても飽きがこないのが特徴です。常備しておけば、忙しい日の一皿にも、ちょっと気の利いた献立にも活躍してくれます。


チーズカレートースト
朝食にするなら、"五島カレーのチーズトースト"はいかがでしょう。食パンを1枚切り抜き、もう1枚に重ねて器状に。チーズをトッピングしてトースターで焼けば、ボリューム満点・ビジュアルもインパクト大のトーストの完成です。